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白神で出あった爬虫類たち

白神ラインの路上で体を温めるニホンマムシ

      『白神どうぶつ讃歌 白神の森で      

         出あった動物たち』へ転載

 

      

2010年9月9日 ニホンマムシ 白神ラインにて.

 秋の気配がしのびよる白神ラインの大川橋近くの路上でニホンマムシ(以下 マムシ)を発見. ミズナラやトチの樹が覆いかぶさる道路に木漏れ日がさし,その陽だまりの中に50〜60 cmくらいのずんぐりむっくりのヘビがいたのです. 体を温めていたのでしょう. とても幻想的でした. 7~8 mくらい前でヘビに気がつき,急いで車を止めカメラを手にそっと車を降り,恐るおそる近づきズームアップで激写! 眼の辺りから後方に延びる黒い線(眼線)と体の表面の銭型紋様(黒っぽい〇に黒の中点)がマムシの特徴です. 猛毒のヘビですので,山を歩くときはこの特徴を覚えておいた方がいいですね. ついでに白神ではふつうに見られる無毒のジムグリを紹介しましょう.

大川渓流のほとりでジムグリに遭遇!

    『白神どうぶつ讃歌 白神の森で      

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2010年8月29日 ジムグリ 大川渓流沿いの杉林にて.

 暗門川にそそぐ大川渓流沿いを2 kmほど遡った辺りのけもの道で倒木の上でまどろんでいる(?)1 m以上もありそうな濃い赤茶色のヘビに出くわしました(写真左). 突然ばったり目の前にヘビが! ということで,心臓がバクバクするほどびっくりしました. 幸い,そのヘビは元来おとなしいヘビらしく,ほとんど動かずじっとこちらを見ているだけした. そこで私も少し落ち着きをとり戻しじっくり眺め,やっと “ジムグリ” だと認識しました. ジムグリはふつう赤っぽい茶褐色で黒い斑点が入るのですが,この個体は赤みが強くほとんど無紋で,いわゆる “アカジムグリ” と呼ばれるヘビのようです. 頸部が太く, 頭部と胴体の境目がはっきりしないのが特徴です(写真右,一部拡大).

『白神どうぶつ讃歌 白神の森で      

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 ジムグリという名の由来は“地にもぐる”ということから来ているようで,林床に出来ている穴や隙間に潜る習性があり,半地中生活者だといわれています.5分か10分くらいの“長い見つめ合い”が続いた後,このジムグリはすぐそばの大木の根元にある穴にゆっくり滑るようにもぐり込み,姿を消しました.次に,2005年の古い写真で本企画の期間外になりますが,(参考までに)マムシと同様に強い毒を持っているというヤマカガシを紹介します.

暗門のブナ林で出あった鎌首をもたげるヤマカガシ

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2005年8月30日 ヤマカガシ 暗門の滝ブナ林散策道にて.

 ブナ林散策道のかたわらでシダの葉のかげに潜むヤマカガシに遭遇しました.1m以上はありそうな成体のヤマカガシです.だいだい色のバックに黒い斑紋が入る美しいヘビですが,このだいだい色がうすい個体もあります.水辺を好むようで渓流の川原などでよく見かけます.比較的おとなしいヘビで,めったに噛まれることはありません.とはいえ,状況によっては噛まれることもあり,やはり“要注意!”です.運悪く噛まれたとしても“軽くかまれた程度であれば大したことはない”と言われていますが,深くかまれ死亡した例もあります.その毒はマムシより強いようですので,危険なヘビと認識しておきましょう.頸部にも頚腺とよばれる毒腺がありますので,触らないようにした方がよいでしょう.

ヘビ類3種(アオダイショウ・ヤマカガシ・ジムグリ)

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写真左上 アオダイショウ 2009年5月19日 秋田県八峰町にて.

 日本本土では最大のヘビといわれ,長いものだと2mにもなるという.無毒のおとなしいヘビで, 人とともに暮らすヘビともいわれ,白神山地などの深山ではあまり多くはないようです.写真のアオダイショウは八峰町の里山に近い中学校の裏で見かけたものです.

写真右上 ヤマカガシ 2010年8月22日 白神自然観察園にて.

 午前10時に少し前の観察園散策道の傍で,カエルを追って移動中のヤマカガシです.ヤマカガシはか

なり強い毒の持ち主ですので,遭遇した時は手を出さずそっと離れるに越したことはありません.

写真下 ジムグリ 2009年6月26日 久渡寺参道にて.

 体長はせいぜい1m程度の無毒のヘビですが,写真の個体はほぼまっすぐ伸びた状態で,突然目にするとかなり長く見えます.頸部が太く、毒蛇にあるような“エラ”がほとんどないので,頭部と胴体の境目がはっきりしないのがこのヘビの特徴です.これはジムグリがほぼ地中で生活していることと関係するのかもしれません.下にその頭部付近の拡大像を示します.

ジムグリ(頭部)_IGP2080a.jpg

アオダイショウ

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2010年8月18日 アオダイショウ 白神自然観察園にて.

 たまたま動いているヘビの尾に気がつき,急いでシャッターを押したもので,目を凝らして見ないと見落としてしまうようなシーンです.頭に近い部分と胴の一部,尾の部分だけが見えています.2m近くもありそうなこのヘビはアオダイショウでしょう.日本では2m近くにもなるヘビはアオダイショウだけなので….

二ホンマムシ芦沢の谷川を渡る

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2009年9月3日 芦沢の谷川を渡る二ホンマムシ 芦沢(川原平)にて.

 白神山地ではふつうに見られる毒性の強いヘビです.ヤマカガシと同じように川原や林道などでよく見かけます.上の写真からもわかるように,泳ぎも上手なようで,沢筋の谷川を泳いで渡ることもあります.上の写真は右方向から谷川に入り,ちょうど川の真ん中あたりまで進んできたところです.このあと流れに押し流され・・・.

マムシ芦沢の小川を渡るー2.jpg
マムシ芦沢の小川を渡るー1.jpg

2009年9月3日 芦沢の谷川を渡る二ホンマムシ 芦沢(川原平)にて.(上の写真から続く)

 瀬を3段ほど押し流され,左岸にとりついてするすると岩の上へと移動してゆきます.これら3枚の写真はカワネズミの行動を映像にしようと,弘前大学情報処理センターの丹波澄雄先生と所属の学生さん達の協力で芹沢の谷川に赤外自動カメラをセットして撮った動画からの3コマです.右上端のあたりから谷川を渡りきるまでの一部始終を動画に収めてありますので,興味のある方は【白神散策Movieでご案内】をご覧ください.

ニホンカナヘビの日向ぼっこ

  『白神どうぶつ讃歌  白神の森で      

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2011年6月25日 ニホンカナヘビ 大川渓流の川原にて.jpg

2011年6月25日 川原の岩の上で日向ぼっこするニホンカナヘビ(以下 カナヘビ) 大川渓流にて.

 暗門川の支流の一つである大川沿いの河原で日向ぼっこをしているカナヘビに遭遇しました. 陽だまりの岩にへばりついて体を温めているようで,じっとしていてしばらく動くこともなく,おかげでよいシャッターチャンスに恵まれました. カナヘビは日本固有種で成体は25 cmくらいにもなり,体(全長)の2/3以上を占めるほどの長い尾を有しています. 敵に攻撃されると二ホントカゲ(以下 トカゲ)と同じように簡単に尾を自切し,ピクピク動く尾の切れ端を残し,すたこらさっさと逃げのびます. トカゲと同じように,再生力が強く切れた部分は容易に再生するようで,再生中の個体に出くわすこともあります.

産卵直前のニホンカナヘビ

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2011年7月2日 まもなく産卵のニホンカナヘビ 大川渓流の川原にて .jpg

2011年7月2日 まもなく産卵のニホンカナヘビ 大川渓流の川原にて.

 先に紹介したニホンカナヘビの撮影日から1週間ほど後(7月2日)もう一度大川の同じポイントへ行ったら.今度はお腹の大きな産卵直前のニホンカナヘビに出会いました.初夏から夏季にかけて交尾し,1ヶ月ぐらいで産卵するといわれています.写真をズームアップして見ると・・・,身重なのにどうやら脱皮がはじまっているようです.先に紹介したカナヘビは“彼女のお相手だったのかな?”なんて想像するのも楽しいものです.無事産卵し元気な子が孵化しますように!この個体の動画も撮ってありますので,興味のある方は【白神散策Movieでご案内】をご覧ください.

ニホントカゲの幼体にお目にかかりました

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2011年9月10日 ニホントカゲの幼体.大川橋から1kmほど上流の川原にて.

 先に紹介した産卵まぢかのニホンカナヘビ(7月2日の写真)のことが気になり,この日,大川の同じポイントに行ってみました.ニホンカナヘビには会えませんでしたが,うれしいことに青いしっぽのちっちゃなニホントカゲに逢うことが出来たのです.感動の瞬間でした.可愛いらしくこちらの様子をうかがいながら、ちょろちょろと石の間を動き回っていました.

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 更に6日後9月16日と10月下旬に再々度この場所を訪ねたら,動きもいちだんと活発になり順調に生育してました(右上だけが10月下旬,残りは9月16日).緑っぽいブルーからコバルトブルー・濃いブルーのグラデーションを示すきれいな尾はニホントカゲの幼体の特徴です.背中と体側を走る5本の橙色のラインは成体になっても残るようですが,しっぽの特徴的な色彩が消えてしまうのは残念! 写真上左の個体は何かに襲われたのでしょうか,尾の途中に切れそうになっている部分があり,自切しかかっているようです.二ホントカゲは1度の産卵で10個前後産むと言いますので,辛抱強く粘ればもっとたくさん撮れたのかもしれません.動画も撮りましたので,興味のある方は【白神散策Movieでご案内】をご覧ください.

尾が再生中のニホントカゲ

      『白神どうぶつ讃歌 白神の森で      

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2009年8月19日 尾を再生しつつあるトカゲ 秋田県八峰町にて.

 トカゲやカナヘビは自分の身に危険が及ぶと,自分で尾を切り,ピクピク動く切断した尾に気を取られている敵をしり目に逃げ去ると言います. この現象を自切(じせつ)といいますが,自切の部分からは新たな尾が再生されます.

この写真は八峰町“お殿水”湧水傍の岩の上で休んでいるトカゲを見つけ,尾が短いトカゲだなと思い撮ったものです. よく見ると自切した亜成体のようで,自切してから何日くらい経ったのかわかりませんが,順調に尾を再生しているようで,ほっとしたものです.

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