白神で出あった昆虫たち ②

蝶の仲間たち – その1(タテハチョウ科)

クジャクチョウ

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2010年7月18日 クジャクチョウ (旧)砂子瀬小学校(砂川学習館)跡にて.

 前翅と後翅に計4個の大きな目玉模様(眼状紋)をもつ美しい蝶で,この目玉模様が孔雀の飾り羽を思わせることから“クジャクチョウ”という名前がついたのでしょう.学名の種小名にgeishaという語がつけられており,日本の芸者さんのようにあでやかで,赤を基調とする鮮やかな紋様を有するクジャクチョウは魅惑的で,私のもっとも好きな蝶の1つです.

ルリタテハとシータテハ

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写真左 2010年10月7日 ルリタテハ 大沢林道にて.

 ルリタテハ属1属1種の蝶です.濃い黒褐色の翅の周縁に沿って走る鮮やかな瑠璃色のラインが特徴です.林縁などで翅を広げて止まっているのをよく目にします.

写真右 2010年10月7日 シータテハ 大沢林道にて.

 シータテハの“シー”とは何を意味するのだろうと,子供のころからずっと思っていましたが,やっとわかりました.それは後翅の裏側真ん中たりあるアルファベットのC字型模様から来ているのだそうです.この写真は表面なのでわかりませんが・・・.

コミスジとミスジチョウ 

 

 黒褐色の地に左右両翅にわたって三本の白い帯が走り,これが三の字に見えるのがミスジチョウの仲間で,この三本の白帯の紋様の違いによってミスジチョウ,コミスジ,ホシミスジを区別できます.

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写真左 2009年8月19日 コミスジ 八峰町にて.

 前翅表面(写真では左側)最前列の白帯の末端が細く尖っているのがコミスジのパターン.

写真右 2010年7月24日 ミスジチョウ 大川源流部鍋倉森にて.

 白帯が三本あり,コミスジとよく煮ていますが,最前列末端の白帯の紋様が途中で途切れることがないのがミスジチョウのパターン.

ミドリヒョウモン 

 

 オス・メスともに黄色地に黒い線条や黒い斑紋が並ぶ“ヒョウモン”の紋様を有していますが,メスの後翅裏面が薄緑色を帯びているという特質があり“ミドリ“という名がついています.

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2009年7月23日 オカトラノオの花にとまったミドリヒョウモン 大沢林道にて.

写真左 背面から撮ったミドリヒョウモン(♂).

写真右 後翅の裏面が見えるアングルで撮ったミドリヒョウモン(♀).

メスグロヒョウモン

 黄色の地に黒っぽい斑点が散らばるヒョウモンチョウの仲間ですが,典型的な性的二形を示し,オスは一般的な豹紋の翅,メスは同種とは思えないほどの紋様・色調が異なり,黒地に白帯の紋様の翅を有しています.

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写真左 2010年9月30日 メスグロヒョウモン(♀)  白神自然観察園にて.

写真右 2010年8月18日 メスグロヒョウモン(♂)  大川林道にて.

ウラギンヒョウモン

 

 翅の表側は一般的なヒョウモンチョウの紋様ですが,後翅の裏側に銀白色の丸い斑点紋様が多数見えることから“ウラギン(裏銀)”の形容がついたものと思われます.

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写真左 2009年7月5日 翅を閉じてとまっているウラギンヒョウモン 大沢林道にて.

写真右 2010年10月7日 翅を半分開いているウラギンヒョウモン 白神自然観察園にて.

コムラサキ・オオウラギンスジヒョウモン・アカタテハ

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左より時計回りに,

2009年7月5日 コムラサキ 大沢川沿いの空き地にて.

 黒っぽい茶色地に薄いオレンジの紋様があるタテハチョウの仲間.オスはこの黒っぽい茶色地の部分が紫色に輝いてみえます.オオムラサキをひとまわり小さくしたような蝶です.

2010年9月30日 オオウラギンスジヒョウモン(♀) 白神自然観察園にて.

2010年10月7日 アカタテハ 白神自然観察園にて.

 前翅表面中央に鮮やかな橙色の帯状模様があり,前翅先端は黒く、白色の斑点が並んで見えます.

蝶の仲間たち – その2(その他の蝶)

イチモンジセセリとヒメキマダラヒカゲ

写真左 2009年10月15日 イチモンジセセリ 大川渓流の川原にて.

 全身茶色のセセリチョウの仲間.“イチモンジ”というのは,後翅裏に銀色の丸い紋様が一文字に並んで見えることに由来するようです.

写真右 2010年8月22日 ヒメキマダラヒカゲ(♂) 白神自然観察園にて.

 茶褐色の翅に黄色い斑紋があるジャノメチョウの仲間です.写真は翅の裏面で,全体として黄土色で,後翅の外縁部に眼状紋がいくつか並んで見えます.

キアゲハとベニシジミ

写真左 2010年9月1日  キアゲハ 藤里町にて.

 全国どこでも見られるお馴染みのアゲハチョウです.ナミアゲハ(アゲハ)とよく似ていますが,前翅の基部辺りがナミアゲハでは縞模様になり,キアゲハではこの縞模様はありません.

写真右 2010年10月7日 ベニシジミ 白神自然観察園にて.

 前翅周縁に黒褐色の縁取りがあり,赤橙色の地に黒い斑点が入るシジミチョウの仲間.ベニシジミの“ベニ”は紅色ということで,前翅の翅の地が紅色ということから来ているようですが,季節によって明るいオレンジ色からレンガのような深いベニ色になるようです.

蛾の仲間たち-その1(幼虫)

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左上より時計回りで

2009年6月12日 キドクガの幼虫 白神自然観察園にて.

 キドクガは5大毒蛾の1つといわれ,成虫のみならず幼虫や蛹も強烈な毒針毛をもっているので,触ったりするととんでもなく痒くなったり赤く腫れたりします.要注意!

2009年6月12日 クワゴマダラヒトリの幼虫 白神自然観察園にて.

 クワやニセアカシアなどの広葉樹につくヒトリガの仲間で,大きいものだと50mmにもなるようです.

ヒトに悪さをするような毒はないようです.

2009年6月26日 ヨツボシホソバの幼虫 久渡寺参道にて.

 ヒトリガ科の仲間.毒性の強い長い毛を持っており,要注意です. 

2010年8月27日 アメリカシロヒトリ 白神自然観察園にて.

 アメリカ原産のヒトリガの仲間で,幼虫の針毛に刺されても腫れたり痒くなることはほとんどないようですが,幼虫が食べる食草はサクラやリンゴ・カキなどと広く,甚大な被害を及ぼすことで知られています.

コエビガラスズメ

2011-7-31 コエビガラスズメの幼虫(スズメガ科)白神自然観察園にて.jp

2011年7月31日 コエビガラスズメの幼虫(スズメガ科)白神自然観察園にて.

 鮮やかな黄緑色のボディと体側に並ぶ紫と黒と白の斜条ラインがとても美しく,名前がわからないまま撮った1枚です.図鑑で調べてやっとコエビガラスズメの幼虫だと判明しましたが,成虫は幼虫からは想像もつかないほど地味な蛾でした.

蛾の仲間たち-その2(成体)

昼飛ぶ蛾・キンモンガ

_IGP2575キンモンガ(昼飛ぶ蛾)白神自然観察園補正済.JPG

2009年7月23日 キンモンガ 白神自然観察園にて.

 観察園の遊歩道でトリアシショウマの白い花の上にとまっているひときわ目立つ見慣れない蝶を発見!と小躍りしたのですが,カメラを通してじっくり見るとアゲハモドキガ科の蛾でした.少々蛾っかり(?)したのですが,黒地に黄色い紋様が美しい蝶のような姿に改めて見惚れたものです.日中に飛び回り,蜜を吸いに花に集まるので,よく蝶に間違われるようです.私もその一人ですが….

蛾類4種

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​左上より時計回りで

2010年6月6日 オオミズアオ 白神自然観察園にて.

2010年9月7日 オオタバコガか? 砂子瀬遺跡にて.

 津軽ダムの完成に伴いこの遺跡は水没してしまいましたが,ダム完成前に砂子瀬遺跡を訪れ撮影したものです.

2010年9月30日 ナナスジナミシャク 白神自然観察園のブナ林にて.

 しばしばブナ林で大発生する2cmそこそこの小型の蛾で,幼生はブナの実を食するそうです.この日の観察園のブナ林は,ナナスジナミシャクの大群が飛び交い,あたかも白い煙幕が揺れ動いているように見えました.

2010年10月6日 イカリモンガ 大川林道にて.

 先に紹介したキンモンガのように昼飛ぶ(昼行性)蛾で,花にとまる時は翅を閉じてとまるので“いかり(錨)”の紋様を確認しにくいのですが,たまたま翅を開きかけた瞬間が撮れました.真上から見ると左右の前翅両端にオレンジ色の錨紋様が見えるのですが….参考までに,錨紋が分る程度にZoom upした像を右にあげます.

ライトトラップでとらえた蛾類4種

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いずれも白神自然環境研究所の中村剛之さんのライトトラップに集まってきたものです.

上左より時計回りに

2010年6月6日 フトオビホソバスズメ 白神自然観察園にて.

 元青森県郷土館の山内智さんによると,青森県では青森市大滝平,黒石市,十和田市蔦などから記録されているようで,青森県内ではあまり多くない種類とのことです.

2011年8月6日 ノコギリスズメ 白神自然観察園にて.

 スズメガ科の仲間. 普通,蛾は前翅が前方に,後翅は前翅より後方に開いてとまるが,ノコギリスズメは後翅が上翅前縁よりも前に開いて止まるようです。

2011年8月6日 シロジマエダシャク 白神自然観察園にて.

 白地に灰色の斑紋があるエダシャクの仲間。山内智さんによると白神山地では鰺ヶ沢町赤石川や赤石川支流の五人役沢などから報告されているようです.

2011年8月6日 ムラサキシャチホコ 白神自然観察園にて.

 この写真は枯れ葉ではありません.見事に枯れ葉紋様を体現させたシャチホコガの成体なのです.この個体は誘蛾灯で白い布に誘引され見つけたもので,枯れ葉がたくさん落ちているところだと,見つけることはほとんど不可能です.色具合はもちろん枯れ葉のめくれ具合といい,葉脈のはてまでも枯れ葉になりきったこの蛾は環境に完璧に溶け込んでおり,究極の隠蔽擬態(いんぺいぎたい)といえるでしょう.